イタリアと聞くと、ローマ、ヴェネスィア、フィレンツェ、ミラノといった象徴的な都市を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、有名なランドマークの向こうには、おとぎ話からそのまま飛び出してきたような魔法の村が隠れています。南イタリアに位置するアルベロベッロへようこそ。この町は独特の魅力、伝統的な建築物、魅惑的な雰囲気で訪れる人々を魅了します。
絵本から飛び出した町 アルベロベッロ
プーリア地方に佇むアルベロベッロは、円錐形の屋根を持つ真っ白な家屋「トゥルッリ」で有名です。「きのこ村」とも呼ばれるこの幻想的な町はユネスコ世界遺産に登録され、イタリアで最も風変わりな観光地の一つとなっています。
トゥルッリの特別な秘密
トゥルッリはモルタルを使わずに石を積み上げたドライストーン建築で、象徴的な模様が刻まれた円形の石屋根が特徴です。キリスト教の十字架や異教のシンボル、占星術のマークなどが刻まれたこれらの模様は幸運を招くと信じられていました。元々は税務調査官が来た際に素早く解体できるように設計されたというユニークな歴史が、町の機知に富んだ歴史を物語っています。 
歴史の断片
トゥルッリ建築の起源
15世紀、この地域は封建領主の支配下にあり、恒久的な集落には高い税金が課せられていました。住民たちは税務調査官が来た時に解体可能なトゥルッリを考案し、この独創的な建築様式が町の特徴となっていったのです。
1996年、アルベロベッロのトゥルッリはユネスコ世界遺産に登録され、この貴重な建築様式が後世に受け継がれることになりました。
アルベロベッロの見どころ
バジリカ・ミノーレ・デイ・サンティ・メディチ
1609年に建てられたこの歴史的な聖堂はルネサンス様式の建築で、トゥルッリとは対照的な佇まいを見せます。町の守護聖人である聖コスマと聖ダミアノに捧げられています。
サンタントニオ教会
アルベロベッロ唯一のトゥルッリ様式の教会サンタントニオ教会は1926年に建設され、高さ21メートルの円錐形ドームが特徴です。信仰と地域建築の融合が実現した必見スポットです。
トゥルッロ・ソヴラーノ
通常のトゥルッリとは異なり、トゥルッロ・ソヴラーノは2階建て構造。18世紀のアルベロベッロの生活を伝える博物館として公開されています。
トゥルッリ展望テラス
町全体を見渡す絶景を求めるならベルヴェデーレ・サンタ・ルチアへ。夕日が石造りの屋根を黄金色に染め上げる瞬間はまさに魔法の時間です。
シャム双児トゥルッロ＆最小トゥルッロ
2つのドームと入口を持つシャム双児トゥルッロは異彩を放っています。一方、最小トゥルッロはお土産店に変身し、その小ささが人気を集めています。
プーリアの味覚巡り
アルベロベッロの食文化は新鮮な魚介類、地元産チーズ、伝統的なプーリア料理が織りなす美味の世界です。
オレッキエッテ・コン・レ・チーメ・ディ・ラパ – カブの葉とアンチョビを絡めた耳形パスタ
ブラータ – とろけるクリーム状のチーズは温かいパンと最高の組み合わせ
フォカッチャ・バレーゼ – トマトとオリーブオイルをのせた薄焼きパン
ポルポ・アッラ・ピニャータ – トマトとハーブでじっくり煮込んだタコ料理
タラッリ – オリーブオイルとワインで作るリング状のスナック
アルベロベッロの宿泊施設
町の魅力を存分に味わうなら、伝統的なトゥルッリ住宅に宿泊するのがおすすめ。歴史ある建物がゲストハウスに改装され、他では味わえない体験を提供しています。
観光客の少ないエリアに宿を取れば、アルベロベッロの静寂をより深く楽しむことができます。
旅行のヒント
ベストシーズン
4月から9月が最適。フェスティバルや屋外アクティビティが盛んになります。
ビザ情報
イタリア入国にはシェンゲンビザが必要です。現在27カ国がシェンゲン圏に加盟しており、国境を越えた移動が可能です。
アクセス方法
最寄り空港はバリ空港。バリから電車やバスで簡単にアクセスでき、日帰り旅行にも最適です。
最後に
アルベロベッロは歴史と建築、おとぎ話の魅力が融合した唯一無二の目的地です。トゥルッリが並ぶ路地を散策し、美味しい郷土料理を味わい、豊かな歴史に触れる――この小さなイタリアの村はきっと忘れられない体験を約束してくれるでしょう。
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