インドのアゴーリ派の修行者たちは、外部の人々から「死体食い族」と呼ばれ、主に死体や排泄物など現代人が食べられないものを摂取しています。彼らの唯一のタブーは馬肉を食べないことです。
時には、これらの人々は苦行者とも呼ばれます。彼らは死者の頭蓋骨を器として使い、死者の灰を体に塗り、片腕を枯れるまで上げ続けます。髪を切らず、入浴せず、衣服を着用せず、最小限の覆いで慎みを保ちます。
アゴーリ派は自らをアゴーリ道の実践者と呼んでいます。 
アゴーリ派修行者の起源
アゴーリ派の創始者であるアゴーラチャリヤ・ババ・キーナラームは、1601年に北インドのガンジス川岸の重要な都市ヴァラナシで生まれました。100万人以上の人口を抱えるヴァラナシは、ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教の聖地です。ここは仏陀が悟りを開いた後、初めて説法を行った鹿野苑があり、玄奘三蔵がインド巡礼中に訪れた場所でもあります。
生後3日経っても泣かなかったババ・キーナラームに、3人の僧侶が現れて抱き上げ、耳元で何かを囁くと泣き出しました。僧侶たちは両親に「この子は並外れた人物になる」と告げました。
主流派から軽蔑されるアゴーリ派ですが、彼らはヒンドゥー教三大神の一柱であるシヴァ神の化身とされるババ・キーナラームに深い敬意を払っています。
ババ・キーナラームの墓所はこの地域の有名な宗教施設兼観光名所です。破壊の神シヴァは、死と遺体を中心としたアゴーリ派の全生活サイクルに影響を与えています。
ヒンドゥー教の火葬とアゴーリ派の食習慣
ヒンドゥー教徒は、ヴァラナシで火葬されれば魂が最も早く天国に昇ると信じています。そのためヴァラナシでは1日最低300体が火葬され、1体あたり500kg以上の木材が必要です。これが原因で地域の森林破壊が進み、富裕層しか火葬費用を負担できません。
火葬は全身を焼くことを意味せず、頭蓋骨が破裂すれば魂が浄化されると考えられています。資金不足の家族は遺体を部分的にしか火葬せず、残りをアゴーリ派が摂取します。
貧しい家族は遺体をガンジス川に直接流すこともあり、アゴーリ派にとって十分な食料供給源となっています。
アゴーリ修行者の日常生活
アゴーリ派は、シヴァ神が創造したものは善悪問わず平等に扱うべきだと信じています。彼らの儀式は「不浄」とされるものを受け入れ、精神世界を超越することを目的としています。
アゴーリ派にとって美と穢れ、人間と動物、生者と死者は全て同じです。そのためタブーが少なく、売春婦との接触を避けず、瞑想中に酒、大麻、灰を使った神秘的な儀式を行います。
ガンジス川はインドのすべての土着宗教にとって神聖であり、死者と生きている者の魂を浊める場として機能しています。しかし同時に、川岸の都市からの未処理の産業廃水や生活排水を受け入れる下水路の役割も果たしています。
科学的な監視により、ガンジス川には一部の細菌を殺す放射性殺菌成分が含まれていることが判明しています。しかし廃棄物の量が膨大なため、細菌レベルは依然として危険な水準に留まっています。
アゴーリ派の修行者が故意に川の腐乱死体を探すことはありません。彼らの主な摂食場所はヴァラナシの火葬場です。火葬された死体の脳が最良の食物だと信じています。火葬用の遺体が不足した場合にのみ、川に浮かぶ死体を回収します。
アゴーリ修行者が長寿である理由
インドではアゴーリ医学は中国の漢方医学に相当する地位を持っていますが、英国の植民地支配の影響と西洋医学の優位性により、アゴーリ病院が存在しない点が大きな違いです。
アゴーリ修行者は長寿で知られ、多くが80歳を超え、90歳や100歳に達する者もいます。
彼らの長寿の一因は独特の信徒獲得源にあります。アゴーリ修行者は主に男性で、少数の女性がおり、正式に出家する前に就労経験と結婚歴が必須です。これによりアゴーリは成熟した経験豊かな人材が確保されます。
出家後は師匠のもとで12年間修行するため、資格を得たアゴーリは最低でも40歳以上となり、必然的に寿命の下限が引き上げられます。
科学的説明と非科学的説明
現代生物学はアゴーリの行動の一部を説明可能です。口から腸に至るまで人体には2キロ以上の微生物群が生息し、健康状態と密接に関連しています。
中国のことわざ「不潔でなければ、食べても病気にならない」が当てはまるようです。西洋医学でも糞便微生物移植と呼ばれる治療法が採用され、乾燥便をカプセルで摂取する治療法があります。
アゴーリの長寿は、特殊な腸内フローラと関連している可能性があります。一度確立された腸内環境は有害な病原体の定着を防ぎ、長寿に寄与します。ただし人肉摂取はプリオン病のリスクが高く、タンパク質の異常折り畳みが神経系を侵し運動障害を引き起こします。
不潔な生活様式にもかかわらず、アゴーリ修行者は澄んだ輝く瞳を持ち、神経学的問題の兆候を示さない点は未だ説明がつきません。
