冬が訪れると、ハルビンの雪景色は息をのむほど美しい。ヨーロッパ風の建物に静かに降り積もる雪と、街灯の温かな光が、この街を氷の王国のように見せる。

多くの人が「冬のハルビンを訪れるべき」と口を揃える。ここはおとぎ話のような雰囲気に包まれる場所だ。しかしネット上で人気を集める一方で、ハルビンは地元の人々を失いつつある。この街の美しさは、甘くも切ない味わいを帯びている。

かつて「東洋の小パリ」と呼ばれ、アジア第二の国際都市だった。1900年に開港したこの街には20ヶ国以上が領事館を設置し、ユニバーサルデパートでは世界中の品が揃っていた。

「中国で最も胸が痛む省都」とも評されるハルビン。高い出発点が変革に追いつかず、その美しさは見過ごされてきた。

しかしここは国連が認めたアジア唯一の「音楽の都」でもある。中国初の交響楽団、映画館、観光列車、音楽学校が誕生し、文化芸術の最先端を走ってきた。

グルメの楽園でもあり、名物の鍋包肉(酢豚)、ロシア料理、東北風煮込み料理、ハルビン赤腸、地ビールが味わえる。

中国東北地方で最もスタイリッシュな街でもある。至る所にヨーロッパとロシアの建築が立ち並び、70以上の教会が建つ風景は他に類を見ない。冬には真っ白な雪に包まれ、「東のモスクワ」と呼ばれる夢幻の世界が広がる。
ハルビンの冬魔法
冬こそハルビンの真骨頂。無料の冰雪博物館のようなこの街は、静謐で純粋、ロマンチックに輝く。足を運んだ者だけが知る、雪と氷が織りなす魔法の世界。

モスクワの香り
ロシア情緒漂う街並みは、冬になるとモスクワに迷い込んだような錯覚を覚える。聖ソフィア大聖堂では、赤レンガと緑のドーム、金色の十字架が雪景色に映え、ハリーポッターの世界観を思わせる。

中央大街散策
雪の日は中央大街を歩こう。ギリシャ、ゴシック、ビザンチン、バロック様式が混在する建築群は、昼は歴史の重みを、夜はネオンに彩られた「小パリ」の面貌を見せる。石畳を踏む柔らかな足音に耳を澄ませて。

ゴーゴリ通り探検
雪が降る日はゴーゴリ通りを散策したい。中国随一の美しさを誇るヨーロッパ風書店「ゴーゴリ書店」では、読書にふけるうちにアレクセーエフ教会が雪景色に灯りをともす。

道外古城区発見
雪の日は道外古城区を歩き回ろう。中国バロック様式の独特な建築が立ち並ぶ撮影スポットで、ヨーロッパと東洋の文化が交錯する。

ヴォルガ荘
雪が降る日はヴォルガ荘を散策したい。パヴロフ城や聖ニコライ教会が建ち、ウォッカを片手に歩けば、まるでロシアに迷い込んだ気分に。

冬のハルビン遊び
雪と氷の冒険
松花江に架かる濱州鉄道橋では、凍った川面のガラス遊歩道を歩いた後、スケートや馬車、アイストップ、犬ぞり、オフロード車など冬限定の遊びが楽しめる。

ハルビン氷雪大世界
ハルビン氷雪大世界は世界最大の「氷雪ディズニーランド」。昼は陽光にきらめく氷彫刻、夜はカラフルなライトアップが幻想的な世界を作り出す。

ハルビンミュージックパーク
ネットで話題の巨大雪だるまをはじめ、独創的な雪像の数々が見られる。
ヤーブリースキー場
中国最大のスキーリゾートで、真っ白な斜面を滑り降りる開放感を体感できる。

兆麟公園とスターリン公園
氷灯りを見るなら兆麟公園、雪像鑑賞ならスターリン公園へ。ハルビンの冬は街全体が祝祭に沸く。

冬の食宴
ハルビンは冬グルメの宝庫。名物マディエルアイスクリームは口どけの良いクリームが絶品だ。

屋台の冷凍フルーツも要チェック。凍り柿や凍り梨は甘みが凝縮されている。東北風煮込み料理や骨付き肉の煮込み、ロシアンサラダやボルシチ、赤腸に大列巴(ダリエバ)を組み合わせた伝統食も楽しみたい。






夜の屋台BBQも忘れずに。ハルビンビールを片手に串焼きを頬張り、賑やかな雰囲気に浸ろう。


異国情緒あふれる風景に、心温まる食文化。ハルビンは訪れた者の心を掴み、未だ訪れぬ者を憧れさせる。雪が降る度、この街は人々を呼び寄せ、新たな物語を紡ぎ続ける。