愛犬が石や布の切れ端など、食べてはいけないものを口にしているのを見つけたことがあるなら、あなたは一人ではありません。この奇妙な行動は「異食症」と呼ばれ、想像以上に一般的で、不可解かつ危険な問題です。しかし適切な対処法を知れば、この不健康な習慣を改善し、愛犬を守ることができます。
犬の異食症とは?
異食症とは、石・土・紙・布など非食用物を強迫的に食べる行動を指します。一見無害に見えますが、根本的な行動や健康上の問題を示唆している可能性があります。最初は飼い主の注意を引くために始めた行動が、次第にエスカレートして制御不能になるケースも。時間の経過と共に、非食用物を食べることで反応を得られることを学習し、習慣が強化されていきます。

最近遭遇した驚くべき症例:クライアントの犬が2度にわたり石を飲み込み、緊急手術が必要になりました。幸い迅速な対応で危機を回避し、X線検査と手術を経て回復に向かっています。
異食症の犬が食べる主なもの
異食症の犬が口にするのは食品以外の様々なもの:
- 石
- 土
- プラスチック
- 衣類
- 金属製品

興味深いことに、犬によって好む物が異なります。石を探す犬もいれば、プラスチックや布を好む犬も。重要なのは、愛犬が何を食べているかを特定し、対策を講じることです。
異食症の原因
行動的要因と医学的要因が複合的に関与しています。根本原因の特定が効果的な治療計画の鍵です。
行動的要因:
退屈・不安・注目獲得が主な原因。ラブラドール・レトリーバー、ダックスフント、ワイマラナーなど、活発/神経質な犬種に多く見られます。

医学的要因:
栄養不足や消化器疾患が原因の場合も。貧血などの症状が異食行動を引き起こす可能性があります。
年齢要因:
成犬・若齢犬に多く見られます。子犬の探索行動とは異なり、成犬期まで続く場合は深刻な問題の兆候です。
異食症のリスク
非食用物の摂取が続くと重大な健康被害を引き起こす可能性:
- 腸閉塞:消化管に異物が詰まる
- 穿孔:鋭利な物が消化管を損傷
- 中毒:化学物質/有毒植物の摂取

土食いは貧血、糞食いは食事バランスの乱れを示すサインとなる場合があります。
対処法5ステップ
異食行動が見られたら即座に対応を開始しましょう。
ステップ1:危険物の除去
家の中では小型物を片付け、散歩時はバスケットマズルを活用。伸縮リードは避け、犬の行動範囲を制限しましょう。

ステップ2:獣医師の診察
行動修正の前に健康診断を実施。血液検査や画像診断で医学的問題の有無を確認します。

ステップ3:行動修正トレーニング
健康問題がなければ行動療法を開始:
- 報酬強化:地面の臭いを嗅がない時に褒美を与える

- 「タッチ」コマンド:鼻先で手にタッチする行動を教え、注意をそらす

- 環境を段階的に変化:静かな場所から始め、徐々に刺激の多い環境へ

ステップ4:適切なおもちゃの提供
ゴム製おもちゃ・骨型ガム・知育玩具など、安全に噛めるアイテムを与えましょう。自然な咀嚼欲求を満たすことが重要です。

ステップ5:ストレス緩和策
運動不足やストレスが原因の場合、毎日の散歩・知育ゲーム・トレーニングを強化。インタラクティブ玩具で退屈を解消しましょう。

要点まとめ
- 異食症は非食用物を摂取する強迫行動
- 原因特定のため必ず獣医師の診断を
- 報酬ベースのトレーニングが最良の解決策
- 適切な咀嚼物と十分な刺激環境を提供
- 罰則は逆効果になる可能性大
まとめ
犬の異食症対策には、医学的検査・行動修正・安全な代替品の提供が不可欠です。根本原因を理解し、一貫した指導を行うことで、愛犬の安全を守り健全な習慣を形成できます。忍耐強く積極的に対応すれば、危険物を避けることをすぐに学習するでしょう。