インド洋に浮かぶ孤島、ソコトラ島は、この地球上で最も異星のような光景が広がる場所の一つと言えるでしょう。イエメン沖に位置するこの島は、他では見られない奇跡の生態系を育んでいます。中でも「竜血樹（ドラゴンツリー）」の森は、この島の象徴的な風景として知られています。しかし、ソコトラの魅力はその神秘的な景観だけではありません。手つかずの自然が残るこの島は、現代文明の影響をほとんど受けていない、地球最後の楽園と呼ぶにふさわしい場所なのです。
ソコトラの首都：ハディブ
ソコトラ島の首都であるハディブは、アラビア海に面した島の北部に位置する小さな町です。空港からハディブへ向かう道中は、緑豊かな山々や放牧されるヤギの群れ、エジプトハゲワシなどの鳥たちが迎えてくれます。海沿いの道を進むと、青く輝く海と赤茶けた大地のコントラストが息を呑む美しさです。
「首都」とは名ばかりのハディブは、整備されていない道路と埃っぽい町並みが広がります。町を歩けば、路上でくつろぐヤギたちや、伝統衣装をまとった女性たち、好奇心いっぱいの子どもたちの視線を感じることでしょう。ここでは時間がゆったりと流れ、昔ながらの素朴な生活が今も息づいています。 
モミ高原とホムヒル国立公園
ドラゴンツリーの森で有名なディクサム国立公園へ向かう前に、中央部に位置するモミ高原へ足を延ばしてみましょう。赤茶けた大地に広がるモミ高原への道は、青空と赤土のコントラストが息をのむ美しさ。もう一方のルートは、うねるような山道を越えてホムヒル国立公園へ。切り立った岩山の合間を抜けると、突然現れるエメラルドグリーンの天然プールが、灼熱の大地に涼やかなオアシスを提供してくれます。
ハイキングコースを進むと、切り立った崖の上に現れるのは、エメラルドグリーンの天然プール。灼熱の大地で汗をかいた後、冷たい水に飛び込む爽快さは格別です。水着の準備を忘れずに！
アル・ホック洞窟
冒険心をくすぐるのが、ソコトラ東部のアル・ホック洞窟。アラビア海を望む絶壁に位置する洞窟へのトレッキングは、まさに探検家気分を味わえる冒険コース。洞窟内では、何万年もの歳月をかけて形成された鍾乳石の数々が、自然の神秘を静かに語りかけます。暗闇の中でライトを消せば、真の暗闇と沈黙があなたを包み込みます。
洞窟の最深部にたどり着いたら、ライトを消して真の暗闇を体感してみてください。耳を澄ませば、滴り落ちる水の音だけが洞窟に響き渡ります。太古から変わらない地球の鼓動を、肌で感じられる瞬間です。
洞窟を出た後は、アラビア海に沈む夕日を眺めながら、この地球の美しさに心震えることでしょう。この瞬間のために、あの急な山道を登ってきたのだと、心から納得できるはずです。
ディクサム国立公園：ドラゴンツリーの森
ソコトラ島の代名詞とも言えるドラゴンブラッドツリーの森が広がるディクサム国立公園。まるでSF映画のセットのような光景が広がるこの場所では、何千年も生き続ける巨木たちが、静かに時を刻んでいます。日没時には、赤く染まる大地とシルエット化する木々が、この星の神秘を雄弁に物語ってくれます。
カランシアと周辺地域
ソコトラ北西部に位置するカランシアは、かつてのソ連軍基地の面影を残す町。錆びついた戦車が転がる不気味な光景は、この島の複雑な歴史を物語っています。町の外れにあるディトワ湖は、エメラルドグリーンの水面が美しいオアシス。周囲の山々とのコントラストが生み出す風景は、息をのむ美しさです。
ディトワ湖からさらに西へ進むと、シュアブビーチにたどり着きます。透き通った海と白砂が広がるこのビーチでは、シュノーケリングがおすすめ。カラフルな魚たちが、まるで宝石箱をひっくり返したような光景を作り出しています。
シュアブビーチからボートで沖合いへ出れば、野生のイルカの群れとの出会いも。彼らは船に並走り、時折ジャンプしては、その愛らしい姿を見せてくれます。自然との一体感を存分に味わえる瞬間です。
ベストシーズン
ソコトラ島のベストシーズンは10月から4月。特に1～2月は植物の開花シーズン、3月はボトルツリーの開花シーズンとなります。7～9月のモンスーン期は海が荒れるため、渡航には注意が必要です。
