よく眠れましたか? これはよくある経験です。多くの人は一晩中寝ているように見えても、目覚めた時にすっきりせず、疲れや頭がぼんやりした状態になることがあります。これは「非効率的な睡眠」と呼ばれる状態のサインかもしれません。
「非効率的な睡眠」とは?
非効率的な睡眠とは、単に休息が不十分というだけでなく、寝返りを打ったり、浅い眠りが続いたり、睡眠サイクルが分断された状態を指します。ベッドで長時間過ごしていても、深い睡眠段階(徐波睡眠)やレム睡眠が十分でない場合、体と脳が十分に回復しないのです。
質の高い睡眠は構造化されています。睡眠開始、浅い睡眠、徐波睡眠(深い睡眠)、レム睡眠の段階を経ます。特に回復効果の高い徐波睡眠とレム睡眠が十分でないと、たとえ長時間寝ても疲労感が残るのです。
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多くの人が陥りがちなのは、長時間ベッドに横になっているものの、深い睡眠が不足している状態です。中途覚醒が多く、睡眠効率が低下します。高齢者では、脳の覚醒を司るヒポクレチン神経の過活動が睡眠の分断を招くことが、2022年の科学誌『Science』で報告されています。
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研究スクリーンショット
睡眠の質を改善する5つの方法
1. 靴下を履いて眠る
2018年の『Journal of Human Physiology』掲載の研究によると、靴下を履いて眠ることで、入眠時間が7.5分短縮、中途覚醒が7.5回減少、総睡眠時間が32分増加し、睡眠効率が7.6%向上したと報告されています。
- 入眠時間が7.5分短縮
- 中途覚醒が7.5回減少
- 総睡眠時間が32分増加
- 睡眠効率が7.6%向上
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足元を温めることで末梢血管が拡張し、深部体温が適切に低下することで、自然な入眠が促されます。特に冷え性の方や末端冷え症の方に効果的です。
2. 重めの毛布を使う
2022年『Journal of Sleep Research』掲載の研究では、重い毛布(体重の12%相当)を使用することで、メラトニン濃度が30%増加することが確認されました。メラトニンは体内時計を調整し、深い睡眠を誘導します。
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3. 就寝前の筋トレ
2024年『British Medical Journal of Sports and Exercise』掲載の研究では、就寝4時間前のレジスタンス運動が睡眠時間を30分延長することが示されました。スクワットやカーフレイズなどの軽い運動が効果的です。
- スクワット:膝がつま先より前に出ないよう注意
- カーフレイズ:かかとを上げ下げする
- ヒップブリッジ:腰を浮かせる運動
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4. 就寝前の足湯
2024年『Journal of Integrative and Complementary Medicine』掲載の研究では、40℃の湯に20分間足湯に浸かることで、深部体温が0.3℃上昇し、入眠潜時が短縮することが確認されました。湯量はくるぶしから10cm程度が目安です。
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研究スクリーンショット
5. スマートフォンの使用制限
2021年の米国睡眠医学会の調査では、就寝前8分間のスマホ使用が入眠時間を1時間遅らせることが判明。ブルーライトがメラトニン分泌を抑制し、概日リズムを乱すことが原因です。
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まとめ
睡眠の質を高めるには、体温調節と光環境の管理が鍵です。靴下や重い毛布で体温を適切に放熱し、ブルーライトカットメガネの使用も効果的です。小さな工夫の積み重ねが、深く充実した睡眠を生み出します。