雲南の人々の体験から見るミャンマー北部の食文化
中国雲南省西部ではこんなジョークが囁かれている:
警官が路上でIDチェックをする際、地元住民に「中国人かミャンマー人か」と尋ねると、
住民は「私はタイ族です」と答える。
これはミャンマー北部と雲南の特殊な関係を示している。国境線が同じ言語と文化を持つ民族を分断しているのだ。
では、雲南の人々がミャンマー北部の親戚を訪ねた時、どんな料理でもてなされるのだろうか?
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シャン族の手厚いもてなし
ミャンマーでは雲南のタイ族は「シャン族」と呼ばれる。最大の居住地であるシャン州は雲南の保山・臨沧・徳宏と接しており、かつて「ミャオシャン王国」と呼ばれていた歴史を持つ。この名称は南詔や大理といった雲南の仏教王国との深い関わりを想起させる。
シャン州を訪れた際の代表料理といえば、
平たいライスヌードルの「シャン・ヌードル」。スープ仕立てか乾麺スタイルで提供され、豚ひき肉醤油と四川山椒、地元スパイスをトッピング。ピーナッツ・唐辛子・漬け芥菜・豆苗と共に味わう。
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もう一つの名物が「ミーシャイ」。食感の異なる米麺に、豚肉の具・漬物・唐辛子・玉ねぎ・ゆで卵を豪快に盛りつけた料理。麺の滑らかさと具材の風味が絶妙に調和する。
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シャン州のメインディシュは「ンガ・ティミン」(魚ごはん)。もち米とマッシュポテトにトマトペースト・ウコン・揚げ魚を加えたボリューム満点の料理で、客人をもてなす定番メニューだ。
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ユニークな食材として「シャン豆腐」も存在。大豆ではなくヒヨコ豆から作られ、黄金色に揚げた後、タマリンドソースやエビ味噌ダレで味わう。
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カチン族の食の魅力
ミャンマーで「シンポー」と呼ばれるカチン族は、雲南徳宏の景頗族と文化的つながりが深い。しかしキリスト教の影響が強い点が、仏教徒主体のシャン州やカチン州との違いを生んでいる。