カシア vs シナモン:寒さが増す季節になると、人々は自然と温かみのある芳香スパイスを求めるようになります。中でもカシア(桂皮)とセイロンシナモンは特に人気があります。その豊かな香りを愛する人もいれば、香りが強すぎると感じる人もいます。

興味深いことに、シナモンロールに使われるシナモンと、中華風煮込み料理に使われる桂皮(カシア)は同じものではありません。どちらも強い芳香を持ち名称も似ていますが、風味と料理用途は大きく異なります。

カシア vs シナモン:文化による使い分け
クスノキ科の植物の多くは芳香成分を含んでおり、特有の香りを放ちます。この特性から、スパイスとして広く利用されています。

中国で「桂皮」と呼ばれるものはニッケイ(Cinnamomum cassia)の樹皮から作られ、一方で西洋諸国で使われるシナモンは通常セイロンシナモン(Cinnamomum verum)を指します。

これらは以前クスノキ属に分類されていましたが、最新の植物学研究によると新たに命名される属に再分類される可能性があります。

カシアとセイロンシナモンに含まれるシナミックアルデヒド、リナロール、オイゲノールの量の違いが、特徴的な風味と料理への応用の差を生んでいます。以下で、これらのスパイスが文化によってどのように使い分けられているかを解説します。

桂皮:煮込み料理の味の決め手
桂皮は中国の家庭で必須のスパイスです。セイロンシナモンと比べると、桂皮は色が濃く厚みがあり、より強くやや苦味のある味が特徴です。このため、甘い料理や飲み物にはほとんど使用されません。

桂皮は主に広西、広東、福建、浙江で栽培されています。加工方法によって以下のように分類されます:
- 桂通(丸ごとの樹皮)
- 桂心(外層を除去した内側の樹皮)
- 桂碎(小さな破片)

中華料理での桂皮の活用法
桂皮は以下の料理で臭み消しと風味付けに重要な役割を果たします:
- 煮込み肉料理
- スープ・シチュー
- マリネ料理
- 茶葉蛋(茶香付き煮卵)

また五香粉や十三香などのスパイスミックスにも欠かせない材料で、温かみのあるバランスの良い香りを加えます。桂皮は中華料理に溶け込み、主張しすぎずかすみすぎない存在感を発揮します。

セイロンシナモン:ベーカーの相棒
セイロンシナモン(Cinnamomum verum)はスリランカとマダガスカル原産で、インド洋を越えて交易された最初のスパイスの一つです。西洋に紹介されて以来、愛され続ける食材です。
セイロンシナモンは通常薄茶色で薄く、何層にも巻かれた形状です。繊細でほのかな甘みがあり砕けやすい特性から、ベーキングや飲料に最適です。

西洋料理でのシナモン活用
西洋では主に粉末シナモンを以下のように使用します:
- スイーツ:
- シナモンロール – スウェーデン発祥の定番ペイストリーで、毎年10月4日は「シナモンロールの日」として祝われます

- リンゴスイーツ – アップルパイ、アップルクランブル、シナモンリンゴソースなど

- スニッカードゥードルクッキー – シナモンシュガーをまぶしたバタークッキー

塩味料理:
- バターチキンカレー – シナモンとコリアンダーを使ったインド料理

- シャワルマ – 中東風ローストミートにシナモンを使用

- ギリシャ風チキンカパマ – トマトベースのシチューにシナモンと黒胡椒

飲料:
- グリューワイン – 赤ワインにシナモン、クローブ、柑橘類を加えた冬の定番

- エッグノッグ – クリーミーなホリデードリンク

- シナモンティー – シナモンスティックで抽出

違いが生まれた理由:食文化の視点
中国と西洋のシナモン(カシア)の使い方の違いは、主に味のバランスと文化的嗜好に起因します:
- 中華料理は濃厚なうま味を重視し、煮込み料理やスパイスミックスに桂皮を使用
- 西洋料理は甘いアレンジを好み、焼き菓子やデザート、飲料にシナモンを活用
使い方の違いはあれど、シナモン(カシア)の温かく心地よい香りは世界中で愛され、特に秋から冬にかけて欠かせないスパイスとなっています。