カナダのノースウェスト準州に位置するナハニ国立公園は「世界で最も未踏の地」と呼ばれます。北緯60度以上に位置し、アクセス手段は航空機・船舶、あるいはタングステン町からの過酷なトレッキングに限られます。1976年に国立公園に指定され、1978年にはユネスコ世界遺産に登録されましたが、未だに大部分が未調査のまま残されています。
不気味な「首なし谷」
全長200マイルの峡谷は、一連の凍りつくような死亡・失踪事件で悪名高く「首なし谷」の異名を得ました。1908年、マクラウド兄弟が峡谷で金を探す途中に消息を絶ち、1年後に首のない遺体が川岸で発見されました。9年後にはスイス人探鉱者マーティン・ヨルゲンセンが同様の運命を辿り、首なし遺体で発見されました。
1945年にはオンタリオ州の鉱夫が寝袋の中で首を切断された状態で発見されました。金鉱労働者同士の争いや先住民の襲撃説が流れる中、この谷には不可解な現象が続発します。有名なナハニ族は最初の死亡事件より前に忽然と消え、先住民たちは何世紀も前から「邪悪な存在が潜む」としてこの谷を避けていました。 
ナハニにまつわる神秘物語
18世紀後半に欧州の探検家が到来する以前、1万年以上ナハニに住んでいたデネ族はこの地の謎の生物について語り継いでいました。20世紀初頭以降、ナハニ渓谷では少なくとも4体の首なし遺体が発見されています。
不気味なのは、谷を訪れた多くの者が「何かに見られている」という不可解な不安を訴える点です。峡谷の大部分は未調査で、地核への入り口が隠されているという噂や、温泉の暖気で熱帯植物が繁茂する「失われた世界」が存在するという説もあります。未発見の金鉱床やビッグフットの目撃情報に加え、何かしらの異常がナハニに潜んでいるのは確かなようです。
ナハニ渓谷五大謎
ナハニ渓谷には少なくとも5つの主要な謎が存在しますが、最も有名なのは首なし遺体の謎です。冒険家・鉱夫・パイロットなど、この禁断の地に足を踏み入れた者たちが次々と不可解に消え去りました。
さらに抽象的な伝承では、ナハニは「邪悪な土地」とされます。川下りした者が消える、部族が神秘的に消滅する、温泉で巨人が料理するという伝説まで存在し、温泉が枯れると不運が訪れると言い伝えられています。
マクラウド兄弟の首なし遺体
1904年、アルバータ州エドモントン出身のフランクとウィリー・マクラウド兄弟はナハニ渓谷で金を探す旅に出発。厳冬期を越えゴールドクリークで金を発見し、富を得てフォート・リアードに帰還しました。しかし貪欲に駆られた兄弟は1905年に再探検に向かい、二度と戻りませんでした。1908年、兄チャーリーが川岸で首のない遺体を発見。片方の遺体は銃に手を伸ばした姿勢で発見され、この事件により渓谷は「首なし小川」、一帯は「死人谷」と呼ばれるようになりました。
マーティン・ヨルゲンセンの首なし遺体
1917年、ユーコン準州の探鉱者マーティン・ヨルゲンセンは「大当たりした」と宣言した直後に失踪。捜索隊が発見した小屋は焼け落ちており、マクラウド兄弟同様に首のない遺体で発見されました。
ナハニ渓谷は神話と伝説に満ちており、「ナハニ渓谷の怪物」はこの地に潜む不気味な生物の一つとされます。この生物は渓谷に侵入する者を特に狙うと言われています。
