アニメやマンガファンの方なら、学生たちが食堂に駆け込み、ホットカレーパンを売り切れ前に買おうとするシーンを見たことがあるでしょう。このスナックは学校給食の宝物として描かれることが多く、それには理由があります。しかし、韓国には「発酵魚」があり、その臭いは世界最臭の食品と呼ばれるスウェーデンのシュールストレミングにも匹敵すると言ったらどうでしょうか? その正体は「ホンオ(홍어)」と呼ばれる発酵エイ料理。その強烈な香りから「最臭の食べ物」という異名を正当に獲得した大胆な珍味です。

ホンオはその強烈な臭いで知られる全羅道(チョルラド)の郷土料理ですが、地域外の韓国人の多くは好んで食べません。なぜこの発酵食品がこれほどまでに賛否両論を呼び、それでも熱烈なファンを獲得しているのか、詳しく見ていきましょう。

韓国人のホンオへの反応
韓国のバラエティ番組でも、ホンオに対する率直な意見が飛び交います。人気番組「水曜日のフードトーク」では、ゲストがエイの臭いを「地獄の臭い」と表現し、別のゲストは「公衆トイレの換気扇が壊れたような臭い」と例えました。

食の専門家でさえ我慢できない様子。韓国在住のアメリカ人フードブロガージョー・マクファーソン氏(ZenKimchi創設者)は「犬肉、ドリアン、昆虫は食べたが、ホンオは韓国で最も挑戦的な食べ物だった」と述べ、「小便器を舐めるようなもの」と表現しました。


伝統的なホンオの調理法
なぜホンオはこれほど臭うのでしょうか? その秘密は発酵過程にあります。他の魚は排泄用の器官を持ちますが、エイは皮膚と身を使って排泄します。発酵中に発生するアンモニアが、公衆トイレを連想させる臭いの原因。このアンモニアこそ、世界でエイが発酵を避け生食される理由でもあります。

しかし韓国では意図的に発酵させます。歴史的にエイは塩漬け不要で保存可能なアンモニア漬けにされ、朝鮮王朝時代には冷蔵技術なしで保存可能な貴重品として重宝され、その伝統が現代まで受け継がれています。

ホンオの食べ方
伝統的な食べ方は豚バラ肉とキムチを添えた「ホンオサムハプ(홍어삼합)」。キムチと豚肉が発酵エイの強烈さを和らげますが、アンモニア臭は主役級。あまりの臭さに「歯を何度も磨かないと匂いが取れない」と言う人もいるほどです。


ホンオの意外なファン層
強烈な反響がある一方、ホンオには熱烈な愛好家が存在します。発酵エイの濃厚な味わいとクリーミーな食感は病みつきになると言い、塩と唐辛子で味を引き立てます。アンモニアの刺激を「フォアグラのような食感にスリルを加える要素」と評する声も。

ホンオ料理の締めくくりに欠かせないのがホンオスープ。アンモニアの香りが五感を直撃する仕上がりです。

ペンメ島でのホンオ復興
人口2,200人のペンメ島では、ホンオが復活の兆しを見せています。かつて栄えた港町は漁業が衰退していましたが、ホンオ人気を観光資源に転換。専門店が続々オープンし、好奇心旺盛な観光客が列をなすほどです。

興味深いことに、ペンメ島ではホンオ1人前が約150米ドル(約932元)で取引されることも。地元住民にとって、もはや伝統料理という枠を超えた収益源となっています。

「臭い」料理への最終考察
ホンオの臭いが万人向けでないことは明らかですが、韓国食文化における重要性は否定できません。好むと好まざるとにかかわらず、ホンオは韓国料理のユニークな遺産です。強烈な臭いにもかかわらず、ペンメ島と全羅道の人々は誇りを持ってこの料理を受け継いでいます。個人的には食べる勇気はありませんが、この発酵食品が持つ文化的意義には敬意を表します。
